ESCARGOTIQUE

<7日間ブックカバーチャレンジ>

最初にブックカバーチャレンジと聞いたときに、本の表紙に関する何かイヴェントだと思いました。

実際には、本の紹介にブックカバーだけアップしてね、という意味ですね。

このルールを大々的に破ってしまっているわけですが、5回目になる今回は「ブックカバー」をキーワードとしての投稿をさせていただこうかと思います。

同人誌って今でもあるのでしょうか。私の学生時代にすでに「昔、そういう物があった」という感じで、過去のものという色合いが強かったと思います。私は文学少女でもなかったので、そういうものに関わることもなさそうだったのですが、卒業して社会人になって大学の同級生と集まったりしていたら、同人誌をやることになったのです。

内容は、自由。いろいろで、エッセイあり、翻訳あり、詩もあり、論文のようなものあり、クロスワードあり、漫画あり、テキスト入りの絵あり、そして、カセットテープで配られる音楽(自分で演奏したり、自作の録音だったり、好きな曲の紹介だったり)がありました。YouTubeがないので、専らカセットテープでのやりとりが主流でしたからね。

私はマルチトラックレコーダー(もちろんカセットテープの)での多重録音を出品していました。そのころチェロはやっていないので、シンセサイザーや歌やそんな音を重ね録りして作っていたのです。1回だけ映画の感想を書いた文章を出した。

冊子の中のテキスト(原稿)は、まだ”ワープロ”初期ですから、ワープロの人(主に会社のワープロでこっそり)も、手書きの人もいて、数人のメンバー(時に飛び入りの人あり)でやっていた。編集(目次つけ、配列など)、コピー(冊子としての印刷)、録音は当番制か何かだったのだと思う。皆それぞれ、そのワープロ打ちか、手書きの紙の原稿を係の人に郵送する。コピーはやはり会社のコピー機をこっそりとかそんな感じだったか。カセットテープは聞き終わったら毎回係に送り返して、次号分は別のカセットに入れて係に送り、係が次号分を全員の各テープに追加録音する。

今回本棚から出てきた冊子らと一緒に送り状の手紙も残っていて、みんな「諸事情により遅れましてすみません。」みたいに書いてありました。

その同人誌の名前が「ESCARGOTIQUE」。エスカルゴがカタツムリなので、「カタツムリ的」とか「でんでんむし的」みたいなイメージ、もちろん造語ですが、詩を書いていた友達が付けて、みんなその名前が気に入っていた。

そして、そんなにやったのだと改めて思ったけど、遅れ気味で月1回発行、第8号まで出ている。それほど大きな喧嘩があったわけではないと思うけど、他の数多の同人誌と同様に、その後立ち消えた。

その表紙(つまりブックカバー)を私が担当していて、毎号用意して係の人に送っていました。最初は手書きで描いたのを白黒コピーしていたけど、第4号からは習いたてのシルクスクリーンを使って刷ったので、カラーになった。そのころカラーコピーは無かったんじゃないかと思います。ほんの何枚かですが、シルクスクリーン版画で作りました。


どんなデザインの表紙にするか考えるのも楽しい作業でした。

それから、30年以上経っているわけだけれども、改めて考えると、これは、今ではとうてい考えられない手法での制作ですね。

そのころはブログもfacebookもYouTubeもないわけだから、そんな同人誌で、自分の思っていること、考えていること、書いた文章、作ったもの、描いたもの、気に入った作品、を友達に知ってもらうしかなかった。

締め切りがあったから、作品を仕上げようとするので、それがありがたいなあと思いました。

出来上がったものが家に届くのも楽しみでした。

今、同人誌をやるとしたら、インターネット上でサイトを作ったらいいんじゃないかとも思いますが、そんなツールとか無料サイト(ブログのテンプレートみたいに、同人誌のテンプレート)って存在するのでしょうか。そういうWeb同人誌ってあるのかしら。いや、インターネットがあれば同人誌自体が要らないのかなぁ。
この紙とカセットテープの同人誌は「ほどよく閉じた世界」を作っているけど、その「ほどよく閉じた世界」はけっこうインターネットでは難しかったりするかもしれませんね。

今回は本棚では小冊子のみ見つかりましたけど、カセットテープもどこかにあるのだろうな。

カセットテープが見つかったとして、それを聴くのにはさらに努力が必要になりそうです。



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