チェロを習い始めて初めて弾いたバッハがこれでした。そのときどう弾いていたかは思い出せないけど、それから何度もこの曲に触れる。練習の合間にふと弾くこともあるし、きちんと取り組もうとするときもある。
そしてまた今けっこう真剣に練習している。
この曲は自分で弾いていて泣いてしまうことが多い。なぜ泣いてしまうのかわからないけど、ああこれだと思って感極まってしまうのだ。もちろん自分の演奏にということではなくて、このバッハの曲が本当に愛おしくて、言いたいことをすべて言ってくれていることに感動するのだと思う。
後半のゼクエンツ(同じフレーズが音を変えて繰り返されるところ)が大好き。もちろんうまく弾けたことはないけど。
今日練習しているときに、ふとこの曲が美しいのは「夕焼けの秘密」だからなのだと思った。そしたら、また感極まってしまった。
夕焼けがなぜ赤いかとかそういうことではない。
ただ、「夕焼けの秘密」と名付ける。
たぶん、この言葉を思い出したのは、中勘助の「銀の匙」について誰かが書いている中に、「この随筆では幼いころの夕焼けの秘密が語られている」というようなことが書かれていたように思うのだ。どこの誰がそう言ったのか、もしくは私の記憶違いかはわからない。 ただ幼いころの夕焼け時はこの曲のような美しさがあったと、そう思ったら、今まで何だかわからなかったものが、静かに、しかし確信をもった形で一致していく感じがした。 私はこれを求めている、これを美しいと思っている、これと一緒にいたいと思っている、そう感じるのだ。
穏やかでありながらかけがえのないもの。
6番のアルマンドもそう。アルマンドは優しく可愛らしく、そして一番深くまで心に入ってくる。
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