町屋良平 / ふたりでちょうど200%

全然知らない人でしたが、面白かったです。


読み始めて、なんでここがというところが、漢字でなくひらがなで書かれていたりして、よく知らないけどラップのような調子の良さというか、どんどんつながっていくリズム感のよい文章で、私にとって誰にも似ていない作家でした。

じゃあ、他の作家はみんな誰かに似ているのかというと、別にそうではないけど、でも、ちょっと親族関係がよくわからないというか、そんな感じがした。いえ、私はそんなに他の小説知らないので、親戚もいるのかもしれない。そういう意味で、「私にとって誰にも似ていない」と書きました。

地に足のついた、というのと逆の、不思議な浮遊感覚が魅力だと思います。

第1章の次の第2章でも、次でも同じ名前の人が出てくるのだけど、前の章と関係あるのかないのか、きっちりパズルが合わないなあと思っていると、いや合ってるか?とか、結局、合ってるのか合ってないのかわからないというのが、1つのテーマにもなっているのかもしれない。あ、輪廻転生のようかとも今思った。

第1章、第2章というか、別々に雑誌に投稿されたもののようなので、短編の連作とかそういう感じかもしれない。

町屋良平さんは、1983年生まれだそうで、つまりものごころついたときには、私の世代で電話があったみたいに、パソコンとか携帯とかがあった世代かなあ。そういう人たちがもう今や立派な大人になっていて、そういう世界観で小説を書くとこうなるという面もありながら、やはり伝統的な文学の真面目さ、つまり、真摯に受け止める責任感のようなものもあるように思う。

世代が違っても、何か、世の中とのずれの感覚とか、自分の記憶や自分の人生とかがうまく理解できていない違和感をともなった浮遊感は、私のものと同じだ。

話に出て来るバドミントンのダブルスのプレイで言われるような、その「ふたりで200%」の感覚は、室内楽をやっているときのよい状態の感じと同じかなと思った。

この作家の他の作品も読んでみたいと思っています。

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