こどものころから家具売り場が好きだった。デパートに行くと、家具売り場のフロアで父や母に「見てもいい?」と言って、お部屋のようになっている展示をひとつひとつ入念に見て歩いた。親は後ろから「はい、もういいでしょ?何がいいのかね。おかしいねぇ。」と言っていた。
家が団地で狭かったから、展示は現実には起こりえない夢の世界で、そういう憧れで見ていたのか。そうとも言えるし、もともとこどものころから「うそこ」がすごく好きだった。遊ぶ時も、「あのさー、これはうそこのほんとね!」と友達と言い合いながら、超ハイになっていった。なぜか今もその傾向は強い。
だから家具売り場もさることながら、舞台セットとかも好き。そう、特に横切りの家が好き。横切りの家というのは、壁が無くて家の中が見えるようになっている歌舞伎の舞台にあるような家だ。私が初めて見たのは歌舞伎ではなくて、テレビの「8時だよ!全員集合!」という番組だったけど。
おもちゃでもお人形さんのお家とか。自分で持っていたのはチーちゃんハウスというチーちゃんという小さい人形を入れるバックで、ホックを外すと展開して家の中が見えるようになっているのだけど、ゆかりちゃんというお友達の家には、2階建てのお家の模型があってそれは子供用というより大人の趣味のミニチュアセットのようなものだった。だからそこにあった人形は子供にとってあまり魅力的なものではなかったけれど、その横切りの(いや、縦切りのというべきか?横の壁がない縦切りの家というのが正確な表現だろうか?)家は本格的な感じで羨ましかった。
「ブレーメンの音楽隊」という絵本でもどんな話だったかすっかり忘れてしまったけど、確か最後のページでみんなが家に戻っておやすみなさいというところで縦切りの家の絵があって、「いいなあ」と思いながら眺めていたのを思い出す。
そう言えば家の間取り図とかも好きだった。だから新聞に家やマンションの広告が入るとその間取り図をひとりでじっと見て、いろいろイメージを膨らませていた。もちろんお人形遊びのときも間取りはちゃんと考えた。
やっぱり、団地だったので、「家」に対するあこがれが強かったのかもしれない。
でも今は特に家の建築や設計にそんなに興味はないし、一軒家に住みたいとも思わない。メンテナンスが大変そうだし、やっぱり何といっても猫が来るんじゃないかとそのことが一番のネガティブ要因になっているかもしれない。
でも、今日IKEAに行って、家具売り場のセットのワクワク感はやっぱりあった。いろいろ想像して「いいなあ」って思う気持ちはこどものころと同じものであった気がする。
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