不来方のお城の草に寝ころびて空に吸はれし十五の心

私は、いろいろとまあどうでもいいような思い出はたくさんあるのですが、学校の授業の思い出が極めて少ないように思います。 先生方、せっかく教えて下さったのにごめんなさい。

それで、高校のときに予備校にも行ったのだけど、予備校となるともっと少ない。 

その中で覚えているのが、この歌です。
予備校の授業の思い出と思ったら、これ以外には何もないように思います。 代ゼミの国語の先生が、この歌を唱えたのです。 
夏期講習かなにかで授業の内容とは関係なく、一番初めの挨拶のような時だったと思います。 先生はもちろん何かを伝えたくてこの歌を紹介されたのだと思いますが、意図するところのお話はまったく覚えていません。 

ただ、私はこの詩に、それこそ、吸われて行ってしまったのです。たぶん先生のお話はほとんど聞こえていなかったのではないでしょうか。 

もともと幼稚園の時からすでに過去を振り返る性格だったので、とてつもなく魅かれたのです。 

そして、メモも取らなかったし、その後この歌に他の場面で巡り合うこともなかったにも関わらず、きっちりとその1回だけでこの詩は私の記憶に刻まれました。 

そして、ときどき、浮かび上がってきます。どんなときってとくにトリガーはありません。  

当時はまだ15からほんのちょっと離れているくらいだったのに、すでに私は15歳のころの初々しさに対するノスタルジー、失われたものに思いを馳せて、恍惚としたのです。 

そして、今もこの歌を思う時の空気感というか、切なさというか、それは私が初めて18歳のとき接したときのものと同じなのも不思議な気がします。

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