昨年の緊急事態宣言のときに、アンサンブルが少ないという”好機”を生かして、チェロの弦をC線とG線がガットのパッショーネに思い切って全部変えてみました。ガットは伸び縮みが大きいので調弦に時間がかかるのです。
後日談としては、バロックピッチ(A=415)にしたり、戻したりしていたせいか、どんどん切れて、結局あの時買った弦は、D線せんしか残っていません。なぜか、パッショーネのD線は長寿です。パッショーネのせいか、私のチェロのせいかはわかりません。
さて、それで今はこれです。
これでバロックの曲を練習しています。
これといってフィーチャーしたい人は、そうです、一番向こう側見た目も麗しい方です。(他の弦はただ生き残っているからそこにいるだけなのであまり気にしないでください)
それと楽器。
まず楽器はルイジではなく、お兄ちゃんのフランツです。これは昨年弦を上げ下げしていいことはなかったので、フランツを415に、ルイジを442に固定にしたのです。
もちろん、発表会のときは当初はフランツではなく後で来た(つまり高級な)ルイジにするつもりだったのですが、フランツで練習していたら、「本番もあなたにお願いします。」と私は言うべきだと思ったのです。そういうことでフランツも本気になれると思った。
そして、一番向こう側の美しい人は、ガットなのです。初めてA線をガットにしてみました。名前はオイドクサといって、今までちょっと耳にしたことがあるくらいの存在でした。
A線だけにしたのは経済的な理由です。A線だけで5000円もして、これは今までに私が買ったA線で一番高価でした。
ま、それとは別に、調弦が苦手な私は全部ガットになったら手に負えなくなるかもしれませんが。
でも、変えてみてとてもよかったです。
私、今までどれかをガット弦にするなら、下の方の弦だと思っていました。それはきっとパッショーネがA線とG線はスチールだからだったからかもしれません。それで、ベースがガットだと楽器全体の鳴り方が違うと。
確かにそれもあるかもしれないのだけど、今回A線だけガットにして分かったのはA線だけでもやはり他の弦も全部変わるし、ガットの響きの感じになるということです。当たり前と言えば当たり前ですね。Aが共鳴するときにはその振れ幅が大きいわけだから。
調弦は自分の部屋で弾いている分にはそれほど狂わないです。というか、エアコンもいれていないし、陽もあたらないので、たぶん空気がまあまあ一定なのだと思います。
まだ慣れていなくてわからないことも多いのですが、それでも感じることは、やっぱりチェロソナタとかはA線を弾いていることが多いから、なんだか弾いていてとても楽しいということです。
圧力が多すぎると音がつぶれてしまうとか、力を抜いてうまく当たるとパンと音がでるというか、そんなことを考えるようになります。スチールでももちろん考えるべきだと思うのですが、その結果の差が少ないかもしれません。
明後日のバロックの発表会で、G.B.チェルヴェット(Cervetto 1690-1783)というチェリストが書いたチェロソナタOp.2-8を弾かせていただきます。
チェルヴェットはイタリア人でこのころの他の音楽家と同様、イギリスに渡ってそこで、ヘンデルのオーケストラなどで活躍しました。息子(James)もチェリストで曲も書いているので、G.B.(ジャコベ・バセヴィ)は息子と区別するためにも必要です。
あまり知られていない作曲家で今回弾くこの曲もCDなど演奏音源を見つけることは出来なかったのですが、何か優しい感じ(易しくはなかったです!)がいいなと思いました。
冬に取り組んだジェミニアーニはけっこう濃いい感じで、そのあとモダンですがマックス・レーガーというこれまた明るくない人の曲を練習して、厳しめが続いて、ちょっとホッとするような曲想に魅かれました。
彼の音楽、ちょっと陰ってもすぐ明るくなっちゃうような人懐こさがある気がします。
鼻が大きくて「ノージー」というあだ名だったということです。あだ名がつく人って、たいてい人気者ですよね。
そんなことも思いながら、曲のメッセージを読み解こうとするけど、技術的にも思ったより難しく、ホッとするどころか試行錯誤の日々がまだ続いていますが、あと少し頑張りたいと思っています。
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